バクテリア除染の田崎名誉教授@東京新聞8/29

(9月10日、8/31の中日新聞と9/7の北國新聞の記事について追記を入れた)

  • バクテリアの除染に効果 飯舘の水田、線量が大幅低下 |福島民報(2011-08-03)
  • 飯舘の土壌でバリウム検出(福島民友・地震関連ニュース) (2011-08-08)

    バクテリア放射性セシウムバリウムに変えた?」
    糸状菌セシウムを吸収して物理学的半減期30年のセシウム137が生物学的半減期で100日程度に?」
    という笑撃的な2本の記事。
    金沢大の田崎和江名誉教授(地球環境学)の研究を紹介する上記のトンデモ記事は、ともに即日新聞社サイトから削除された。

    その田崎名誉教授の研究を29日の東京新聞「除染へ英知結集 福島救え! 大学チームの挑戦 バクテリア・鉱物・貝殻…総動員」が紹介している。
    グーグル検索やTwitter検索ではこの記事への言及が1件もヒットしないのはなぜなんだろう?
    以下に引用しておく。

     同大(引用者註:金沢大)の田崎和江名誉教授(地球環境学)らは、高い放射線量下でも繁殖し、放射性物質を体内に取り込むバクテリアを除染に使えないか研究中だ。
     飯舘村長泥地区の水田の土壌で見つけたバクテリアで、セシウムを周囲の粘土鉱物で包み込み体内に吸収する変わった性質をもつ。セシウム放射線が粘土鉱物で遮蔽され、水田に水を張った実験では、一カ月ほどで線量が半減したという。






    2011-09-10 追記

    8/31の中日新聞に8/29の東京新聞とほぼ同文の記事が掲載されていた。(記事の見出しが違うので気づくのが遅くなった。)
    「同大の」を「金沢大の」に書き換えているなどの細かい相違はどうでもいいのだが、田崎名誉教授に関する箇所は記事の価値に関わる大事な段落が加筆されているので以下に引用しておく。(最後の太字部分は、8/29の東京新聞には無い。)

     金沢大の田崎和江名誉教授(地球環境学)らは、高い放射線量下でも繁殖し、放射性物質を体内に取り込むバクテリアを除染に使えないか研究中だ。

     飯舘村長泥地区の水田の土壌で見つけたバクテリアで、セシウムを周囲の粘土鉱物で包み込んで、体内に吸収する変わった性質をもつ。セシウム放射線が粘土鉱物で遮蔽(しゃへい)され、水田に水を張った実験では、一カ月ほどで線量が半減したという。

     土中からセシウム自体がなくなるわけではないが、はぎ取った表土の保管や除染による副産物の処理といった問題は起きない。



    なお、9/7には北國新聞でも田崎名誉教授の実験が紹介されている。

     能登珪藻土(けいそうど)が、放射性物質に汚染された東北の農地再生に役立てられる。田崎和江金大名誉教授が福島県南相馬市で行った実験で、七尾、珠洲産の熱処理前の珪藻土に優れた除染作用があることが6日までに確認された。実験結果を受け、能登珪藻土業者4社が今月下旬、南相馬の農家らに提供を決定。11日に東日本大震災発生から半年を迎えるのを前に、「能登から被災地の農業を応援したい」と願いを込めている。

     田崎名誉教授はこれまでの実験で、放射線量が高い土壌を粉末状の粘土などで覆うと、放出される放射線量が半分以下に減らせることを確認し、7月からは南相馬市馬場の水田で実証実験を行っていた。

     実験では、福島第1原発の汚染水処理に使われたゼオライト、土壌改良用の貝化石など、さまざまな材料を水田に散布して除染効果を検証。熱処理前の能登珪藻土の場合、土壌サンプルの線量は約100〜120cpm(cpmは放射線量を表す単位)となり、他の材料との比較で最も低くなった。

     珪藻土植物プランクトンの堆積物で、日本海側を中心に全国で産出される。能登産は粘土質でカルシウムやマグネシウム、カリ、鉄などの元素を豊富に含む。加えて微生物が多く生息するという珍しい特徴がある。実験で、他産地の珪藻土の除染効果も検証したが、能登産には及ばなかった。

     ただし、能登産でも熱を加えた物は効果が小さかったことから、田崎名誉教授は、珪藻土中の微生物が放射性物質を吸着、固定するのではないかとみて、分析を進めている。

    (以下略)